コーティングされた見えぬ真実 ~ 『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollipop or A Bullet』

b0137602_1185751.jpg砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない―A Lollypop or A Bullet
桜庭 一樹 (著)
単行本: 208ページ
出版社: 富士見書房 (2007/03)
ISBN : 978-4829176344


内容(「BOOK」データベースより)
子供はみんな兵士で、この世は生き残りゲームで。
砂糖菓子の弾丸で世界と戦おうとした少女たち…。
稀世の物語作家・桜庭一樹の原点となる青春暗黒小説。


◇◆◇

 “鳥取の片田舎に生きる女子中学生・山田なぎさ。
 父は他界し、母のパート代でなんとか暮らしている。
 どこにでもいる少し不幸な少女と、自分を「人魚」だと語る、
 謎多き転校生との奇妙な友情を描く青春暗黒ミステリー。”(角川書店より引用)


こんなあらすじに加え、
はじめに刊行された富士見ミステリー文庫の表紙はいわゆる“萌え絵”。
書店で見たら絶対に手を出したりはしないジャンルの本なのだけど、
いつも参考にさせていただいている書評ブログ
わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる の中で、
劇薬小説」ランク入りしているのが気になり、とうとう図書館で借りてきました。
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…ね?

あらかじめ予告された残酷な結末に向かって話は進んでいくのですが、
甘いタイトルとは裏腹に、想像も付かない重さを突きつけてくる作品。

大人と、社会と戦うための「実弾」が欲しいと望むなぎさと、
「人魚」や「海の底」「汚染」といったエキセントリックな「砂糖菓子の弾丸」を放つ藻屑。
甘く美しく広がるキラキラした透明感の中に、救いのない現実が隠されているなんて。
装備していた「実弾」は「砂糖菓子」でしかなかったということに徐々に気付かされる、残る無力感。

繊細で脆く、懸命な少女たちの姿が輝いて見えるのは、
今の私にはもうそんな部分は残っていないからかもしれません。
かつて13歳の女の子だった自分は今、これから13歳になろうとしていく女の子を育てている。
読み終わった後で、そんなことを考えずにはいられませんでした。

「生き抜く」ことの意味を健気に問い続ける少女たちの姿にうっかり泣いてしまい、
本を読んで泣く、なんてものすごく久しぶり過ぎて自分でもびっくり。
(普段、泣きたくないからこそ不毛なミステリばかり読んでいるのです)

読後感は決して良くありません。確かに劇薬。
それでも救いがないわけではないので、気になった方はぜひどうぞ。
角川より新装版の文庫も出ています。
個人的には単行本のセピア色の装丁の方が好み。
ちなみに私の初桜庭作品。どうやら、今後の桜庭作品に置ける原点だった模様。
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