好きなものは繋がっている。 ~『欧文書体2』~

b0137602_16445758.jpg 小林章  『欧文書体2 定番書体と演出法』 (タイポグラフィの基本BOOK)
 監修=嘉瑞工房 単行本: 160ページ
 出版社: 美術出版社(2008/8/22発行)
 ISBN : 978-4568503647




図書館でふと気になり借りてきたもの。
カリグラフィー」と「タイポグラフィー」の関係って対極にあるんじゃないかと思っていたけど、
それどころではないことを教えてくれた本。
お陰でより一層カリグラフィーが好きになった気がします。

先に発刊されている『欧文書体 その背景と使い方』 の続編として出された本のため、
いわゆるお仕事で書体を組むデザイナーさんへの解説書かと思いきや、
欧文書体の第一人者である小林氏の語りかけるような口調で書かれてとても読みやすいです。


2章構成で、第1章は「フォント演出入門」。
海外での具体的な事例をたくさんのカラー写真で紹介しながら、
高級感を出したいとき、親しみやすさを演出したいとき、機能的な印象を与えたいときなど、
シーン別に書体の選び方&使い方を解説しています。
とりあえず、高級感=ローマンキャピタルというのは納得。(今更!)
更にカッパープレート体も加えれば最強、ですね。エレガントさと重厚感がたっぷり。

第2章では「定番書体徹底解剖」として、
デザイナーさんが良く使用する16の書体のおいて、
その作者に小林氏が直接インタビューして、効果的な使い方や制作の背景を探っています。
……これが一番読み応えがあって面白かった!

例えば、Frutiger(フルティガー:サンセリフで標識等に用いられている書体)や
OCR-B(バーコードや本のISBNコードなどに使用される世界標準書体)を制作した
アドリアン・フルティガー氏とのインタビューの中で、
「ローマンキャピタルのバランスと黄金比を結びつけるのは理解できない」と氏が言えば、
(文字は)コンパスと定規ではなく、手で書く事によって生まれたわけで、
 その形や幅も手の動きからきている」
と小林氏が返すくだりなんかはものすごく頷けます。
つまり、ローマン体におけるOに対してRやTなどがその半分の幅であるというのは、
黄金比がどうのこうの……の問題ではなく、手の動きから必然的にそうなっているのだよと。

……だから、私はローマンキャピタルが苦手なわけですね。(違)

ペン先の幅7個分、その半分の3個半分…ときっちり測って(測ったように)書かねばならない、
というのは、どういうわけか非常に荷が重く感じていました。
もちろん美しさを求める点では当然必要なことですし、
測らずとも美しく書けるように練習が不可欠なのですが。ですが。でーすーがー。(しつこい)
とにかく、何か論点がズレているような気がしないでもないですが(笑)、
このインタビューを読んだことで、小さな胸のつかえが下りたような気がしました。

更に、書体とそこに生まれる空間部分について、
黒い線が影ならば、白い空間は光だ。この輝いた空間に、書体の美しさが宿っている
と、フルティガー氏が学んだ師の言葉を語っていました。
文字間の、そして作品に生まれる空白の大切さは私も教わってきましたが、
「白い空間は光」というのは正に至言だと思います。

それから、自身がカリグラファーでもあるヘルマン・ツァップ氏へのインタビューも良かったです。
彼がデザインしたPalatino(パラティノ)という気品ある美しい書体があるのですが、
1994年にツァップ氏が自らそれについて言及している記事が引用されていました。
「…大手ソフトウェア会社が『Book Antiqua』と称しPalatinoの低級なコピーを搭載しているが……」と。

……!!

心の中で、ツァップ氏に謝りましたよ私。
恥ずかしながらPalatinoを知らず、その「低級なコピー」であるBook Antiquaを愛用し(略



ですが、こうしたことからも(?)、
好きなものは繋がっているのだなぁ……と感じたわけです。(ようやくタイトルに繋がったぞ)
カリグラフィーとタイポグラフィーの繋がりもそうですが、
この本の監修もしている嘉瑞工房さん、その美しい活版印刷に見とれ、
実はこっそりとお気に入りに入れてあったところでした。
活版印刷といえばコチラもお気に入り、LUFTKATZEさんもそうですが。
いつか、通っている教室の帰りにでも寄ってみたいところです。
更に、著者である小林章氏のブログもちょくちょく拝見していたりして。
「ドイツ日記2」の方もファンです♪ なんちて。

なんだかあらぬ方向へズレまくりですが、とにかく出会えて良かったと思う本。
さっそく書店で購入しようと思います。
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